東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
- 課題整理・改善実施
- UI/UX
- プロトタイピング
- ユーザーインタビュー
- ユーザーテスト
Proximoは東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)様の新しいSuicaサービスのサービスデザイン/PoC(実証実験)支援をしています。企画支援から調査設計・分析、PoCで用いる画面デザイン制作からコーディングまで幅広い分野で支援・伴走しています。

新しいSuicaのUXリサーチ/ソリューション検討支援の活動で得た情報・データを基に仮説検証のためのPoCを実施しました。前フェーズで策定したペルソナを基にターゲットユーザーの鉄道利用シーンとそれを取り巻く環境をカスタマージャーニーマップ形式で仮説を構築し、顕在化している課題+潜在的な課題に対する解決策(機能案)を整理。どのポイントをPoCの検証ポイント・ゴールとするかなども併せてチームで議論しました。

今回のPoCに参加いたただく被験者の方に対して、商品性をどのように伝えるか情報を整理しチームで議論を行いました。商品・企画案の説明や条件を可能な限りシンプルにし、且つPoCのゴールがきちんと達成できる形にドキュメントや画面構成案(デザインラフ)などを通して具体化しました。
また、PoCを「成功」と言えるようにするためにはどのようなユーザーに参加してもらうか・募集をするかを定義し、スクリーニングを行いました。
ユーザーテストやデプスインタビュー同様、このスクリーニングを間違ってしまう・誤った方向で進んでしまうと、調査全体が意味のないものになってしまう可能性があるため、より慎重にチームで議論・確認を行いました。

今回は、サービスデザイン領域だけではなく、システム開発にも携わっています。
ここで開発・使用するシステムはPoC期間の1週間で使い捨てになるため、開発コストを可能な限りコンパクトしながらも、PoC自体が破綻しない仕組みが必要でした。
それらの条件下で最適に開発・運用ができるようWordPressを使った管理画面を構築。PoC参加者の行動ログを期間中に閲覧・分析できるようにするなど、必要な機能を洗い出し、設計・実装を行いました。

入出力するデータの定義や運用方法を決めつつ、同時並行で画面デザインを作成。
管理するデータをフロント側でどう出力するか、見た目はどうなるかなどを中心に議論・策定。
実証実験に参加される方に「Suicaの実証実験である」がしっかりと伝わるよう、Suicaらしさは残しつつ、理解しやすいインターフェース設計・UXライティングを実施しました。
さらに、今回は調査全体のコストを削減するために、ネイティブアプリの開発ではなく、Webアプリでの開発を実施。普段ユーザーが利用している「Suica」はネイティブアプリのため、触り心地や使い勝手を近づけるためにはどうするべきかを考え、PWAを採用し実装を行いました。

PoCに参加いただいた被験者の方にデプスインタビューを実施。
調査全体の設計から設問設計、モデレーター、分析を担当。商品案を実際に1週間体験してみて、価値は感じられたか、理解できない点や不便な点はあったか、それらはどのようなものであったかなど、デプスインタビュー形式でフィードバックを収集し、商品としての妥当性や改善すべき点を抽出・分析しました。
生活の中で商品を利用・活用した消費者と直接コミュニケーションを取る事で、ファクトに程近いエビデンスが構築できたと考えています。
これらのデータ・分析結果は「新しいSuica」の商品性や価値を高めていくための重要なファクターになりうると考えています。

JR東日本では、「新しいSuica生活圏」の構築に向けて、一番の強みである「移動」の価値を基軸に、生活全般に広げた価値のご提供に向けた検討を進めています。
その中で、テレワークの浸透等の社会環境の変化を踏まえ、週数回のみ鉄道を利用されるお客さまのニーズに合わせた新しいSuica商品の検討を進めています。
Proximo様には、その検討の各フェーズにおいてデザイン思考で進めるために伴走いただいており、今フェーズではモックアップを用いて、実際のお客さまに日常的にお使いいただくことで、有用なフィードバック、インサイトを得ることができました。今後のサービス提供に向けて、この結果を踏まえて商品性の向上、プロダクト設計に活かしてまいります。

前回の新しいSuicaのUXリサーチ/ソリューション検討支援で得た情報やチーム力を最大限に活かしながらPoCを実施できたと自負しております。
抽象度の高いUXデザインの領域からからより具体的なUIデザイン・開発の領域まで一気通貫で担当することで、余計なノイズや無駄な工程のない、理想に近いプロジェクトになったと感じています。
また、このチーム・プロジェクトで検討した事や得たデータ、そこから生まれる仮説やアイディアが「新しいSuica」を作り、多くの現ユーザーやこれから生まれる未来のユーザーに対して価値を与えていくものになると思います。その一端を担っている事に誇りを持ちつつ、責任や熱意を持って、プロダクトの磨き上げに貢献・伴走していきたいと考えています。
Client : 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
Creative Direction : Tatsuya Kurihara
UI Designer:Naofumi Shingai
Developer:Naomi Ito(アライブ株式会社)